顧問・企業法務

2026/07/06 顧問・企業法務

リユース・買取業界で問題社員が発生したらどうする?

ブランド品・貴金属を扱う会社だからこそ、初動対応が会社の命運を左右します

リユース業界では、会社に最も利益をもたらす社員が、会社に最も大きな損害を与える可能性があります。

少し極端に聞こえるかもしれません。しかし、企業側の労働問題を取り扱っていると、この業界では決して珍しい話ではありません。

ブランド品や時計、貴金属などを扱うリユース・買取業界では、査定担当者や店長に大きな裁量が与えられています。

商品の価値を見極め、買取価格を提示し、ときにはお客様と価格交渉を行う。これらはリユース業界では日常の業務です。

そして、その判断一つひとつが会社の利益に直結します。

一般的な小売店では、販売価格はあらかじめ決まっていることがほとんどです。

しかし、リユース業界では「いくらで買い取るか」が利益を左右します。

つまり、査定という業務そのものが会社の利益を生み出しているのです。

だからこそ、経験豊富な査定担当者ほど会社にとって欠かせない存在になります。

一方で、その知識や経験、裁量は、不正にも利用できてしまいます。

例えば、ロレックスの査定額が5万円違ったとしても、それが単なる査定ミスなのか、会社のルールを逸脱した不適切な査定なのかを、その場で判断することは簡単ではありません。

値引きについても同じです。

通常の営業判断だったのか、それとも特定の顧客へ不当な利益を与えたのかは、一件だけ見ても分からないことがあります。

つまり、リユース業界では、不正は「商品を盗んだ」「現金を持ち出した」という分かりやすい形だけではありません。

査定、値引き、在庫管理、顧客対応など、日常業務の中に紛れ込むことがあります。

だからこそ、「何となく怪しい」という印象だけで処分を進めることは非常に危険です。

社長が本当に警戒すべきなのは「盗難」ではなく、見えにくい不正です

高額商品を扱う業界というと、「商品を盗まれること」が最大のリスクだと思われがちです。

もちろん、それも重大な問題です。

しかし、私が企業側からご相談を受ける中で感じるのは、それ以上に難しいのは「見えにくい不正」だということです。

査定額を不自然に低くしていないか。

特定の顧客だけ値引きが多くないか。

販売価格や査定価格に不自然な偏りはないか。

こうした問題は、防犯カメラだけでは分かりません。

一件だけを見ても判断できません。

査定履歴、販売履歴、在庫管理記録、POSデータなどを見比べて初めて、「いつもと違う動き」が見えてくることがあります。

そのため、問題社員対応では「本人に何を聞くか」よりも、「会社が何を把握しているか」の方が重要になります。

十分な準備をしないまま本人を呼び出し、その場の説明だけで処分を決めてしまうと、不当解雇や退職強要など、新たな労働問題へ発展する可能性があります。

リユース業界では、不正への厳しい姿勢は当然必要です。

しかし、それ以上に重要なのは、証拠を整理し、事実関係を確認し、適切な手順で対応することです。

問題社員への対応は、「どう処分するか」ではなく、「どう初動対応するか」で結果が大きく変わります。

「少し様子がおかしい」「不正かもしれない」と感じた段階で対応を誤らなければ、会社の損害や紛争を最小限に抑えられる可能性があります。

リユース・買取業界で問題社員への対応にお困りの際は、早い段階でご相談ください。

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© 弁護士 下田和宏(横浜パートナー法律事務所所属)