労働問題・労務相談

2026/06/23 労働問題・労務相談

勤務医・雇われ院長が「数か月後で終わりです」と言われたときにまず考えるべきこと

勤務医の方から、

「理事長から突然、数か月後で契約を終了すると言われた」

「顧問から『今後は契約を更新しない』と言われた」

「院長を降りてもらう方向で考えていると言われた」

というご相談を受けることがあります。

このような場合、多くの方は、「これは不当解雇でしょうか?」と考えます。もちろん重要な問題です。

しかし、実はその前に確認しなければならないことがあります。

それは、本当に解雇なのか という点です。

1「解雇」と思っていたら違う話だった

実際の相談では、

・解雇なのか

・退職勧奨なのか

・役員解任なのか

・雇止めなのか

・自主退職に持っていきたいのか

相手側ですら整理できていないことがあります。

例えば、「契約を更新しない」と言われたため有期契約だと思っていたところ、契約書を確認すると「期間の定めなし」と記載されていた。

あるいは、「院長を降りてもらう」という話と、「医師としての雇用を終了する」という話が混ざっていた。

このようなケースも珍しくありません。

そのため、相手から何か言われた時点で、「不当解雇だ」と考えるより先に、相手は何をしようとしているのか を整理することが重要です。

2 解雇理由よりも先に見るべきものがあります

勤務医の方からは、「能力不足と言われた」「協調性がないと言われた」「理事長の期待に達していないと言われた」という話を聞くことがあります。

しかし実務上は、その理由が正しいかどうかだけではなく、法人がどのような流れで退職まで持っていこうとしているのか を見ることが重要です。

なぜなら、評価低下→改善指導→始末書→退職勧奨→普通解雇、という流れで進むケースもあるからです。

また、事業縮小、組織変更、診療体制変更、院長交代、役員人事などが絡んでいることもあります。

重要なのは、「今言われていること」だけではなく、「次に何が起きそうか」を見ることです。

3 真面目な人ほど注意が必要です

勤務医の先生方は真面目な方が多く、「迷惑をかけたくない」「円満に終わらせたい」と考える傾向があります。

その結果、

・退職届を書いてしまう

・感情的なメールを送ってしまう

・自主退職を前提とした話をしてしまう

・証拠の存在を相手に明かしてしまう

ということがあります。

しかし、一度してしまった発言や提出してしまった書面は後から取り消せません。

そのため、「何を言うか」よりも、「今は何を言わないか」が重要になる場面もあります。

4 「まだ解雇されていない段階」で相談する意味

解雇問題というと、解雇通知が届いてから弁護士に相談するイメージを持たれる方もいるかもしれません。

しかし実際には、

・退職勧奨を受けた段階

・改善指導が始まった段階

・数か月後の退職を示唆された段階

で相談される方も少なくありません。

その理由は、解雇の有効無効を争うためではなく、会社が今何を考えているのかを整理するため です。

実務上は、解雇通知が出てからよりも、その前の段階の方が選択肢が多いこともあります。

5 重要なのは「相手のシナリオ」を読むことです

労働問題では、法律論だけで勝負が決まるわけではありません。

誰が主導しているのか、会社は何を問題視しているのか、どのような資料を集めているのか、今後どのような流れを考えているのか、こうした構造を把握することで、初めて適切な対応が見えてきます。

突然、「数か月後で終わりです」と言われたとしても、慌てる必要はありません。

まずは、今何が起きているのか 相手は何をしようとしているのか そこを整理することから始めることをお勧めします。

当事務所では、勤務医・管理職・ハイクラス層の労働問題についてもご相談をお受けしております。

「まだ解雇ではないが、このまま進むと危険かもしれない」

という段階でもご相談いただくことは可能です。

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© 弁護士 下田和宏(横浜パートナー法律事務所所属)