顧問・企業法務

2026/07/12 顧問・企業法務

特殊清掃・遺品整理業者が「勝手に処分した」と言われないために|クレームを防ぐ初動対応

特殊清掃・遺品整理業者でクレームが発生したらどうする?

「説明不足」が会社の信用を失わせることがあります

特殊清掃・遺品整理業界では、クレームを完全になくすことは難しいかもしれません。

ご遺族をはじめ、相続人、大家、不動産管理会社、福祉関係者など、多くの関係者が関わるため、それぞれの立場や考え方が異なるからです。

さらに、ご依頼者の多くは、大切な方を亡くされた直後であったり、孤独死という突然の出来事に直面していたりするなど、精神的にも大きな負担を抱えています。

そのため、通常であれば問題にならないような小さな認識の違いが、大きなトラブルへ発展することも珍しくありません。

私は企業側の労働問題や企業法務を中心に取り扱っていますが、この業界では「作業そのもの」よりも、「説明不足」が原因で問題になるケースが多いのではないかと考えています。

「きちんと作業した」だけでは十分ではありません

特殊清掃や遺品整理は、現場ごとに状況が大きく異なります。

作業を始めて初めて追加作業が必要になることもあれば、見積りの段階では分からなかった事情が判明することもあります。

例えば、想定以上に汚損が広がっていた場合や、害虫駆除や消臭作業が追加で必要になることもあるでしょう。

現場としては当然必要な作業であっても、ご依頼者からすれば「そんな話は聞いていない」「勝手に追加料金を請求された」と受け止められてしまうことがあります。

また、遺品整理では、現場では廃棄して問題ないように思われる物であっても、ご家族にとっては思い出の品であることも少なくありません。

法律上会社に責任があるかどうかとは別に、「事前にどこまで説明していたか」「どこまで確認していたか」が、その後のクレーム対応を大きく左右します。

特殊清掃・遺品整理業界では「誰が依頼者なのか」が難しいことがあります

この業界には、一般的なサービス業にはあまり見られない特徴があります。

それは、依頼者と権利者が一致しないことがあるという点です。

例えば、孤独死が発生した賃貸住宅では、管理会社や大家から「早く片付けてほしい」と依頼を受けることがあります。

しかし、遺品について権利を持っているのは相続人です。

現場では早急な対応が求められる一方で、遺品をどこまで処分してよいのか、誰の了承を得るべきなのかといった判断が必要になることもあります。

もちろん、個々の事案によって法的な結論は異なります。

しかし、会社としては、「依頼を受けたから大丈夫」と考えるのではなく、誰がどの範囲について判断できるのかを意識して業務を進めることが、自社を守ることにもつながります。

クレーム対応で重要なのは「その場の謝罪」ではありません

クレームが発生すると、何とかその場を収めようと考えるのは自然なことです。

しかし、その場しのぎの説明や安易な約束をしてしまうと、かえって問題が大きくなることがあります。

まず重要なのは、何が起きたのかを整理することです。

契約内容はどうなっていたのか。

見積書にはどこまで記載されていたのか。

追加作業についてどのような説明をしたのか。

作業前後の写真は残っているのか。

担当者と依頼者とのやり取りは記録されているのか。

こうした客観的な資料を確認した上で対応方針を決めることが、結果として会社の信用を守ることにつながります。

会社を守るのは、トラブルが起きてからではありません

特殊清掃・遺品整理業界では、一件のクレームが口コミや紹介に影響し、その後の集客にも大きな影響を与えることがあります。

だからこそ重要なのは、問題が起きてから対応することではなく、問題が起きにくい仕組みを作ることです。

見積書や契約書の内容を分かりやすくすること。

追加作業が発生した場合の説明方法を社内で統一すること。

写真や作業記録を適切に保存すること。

担当者任せにせず、会社として対応ルールを整備しておくこと。

こうした積み重ねが、結果として会社の信用を守ることにつながります。

当事務所では、特殊清掃・遺品整理業者の皆様に対し、契約書の整備、クレーム対応、労務問題、問題社員対応、債権回収など、企業側の立場から企業法務をサポートしています。

特殊清掃・遺品整理業界では、法律だけを知っていれば十分とはいえません。

業界特有の現場や事業の流れを理解した上で、会社を守るための企業法務が求められます。

特殊清掃・遺品整理業界の法務についてお困りの際は、お気軽にご相談ください。

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© 弁護士 下田和宏(横浜パートナー法律事務所所属)