顧問・企業法務

2025/06/02 顧問・企業法務

「そんなこと聞いてない!」 家族クレーム・説明不足トラブルを防ぐには? 介護現場と契約書の“すれ違い”にご注意

「こんなサービス内容だとは聞いていない」
「約束していた時間に来なかった」
「うちの親が雑に扱われた気がする」

介護事業者が日常的に直面する“家族からの苦情”。
その多くは「説明不足」「契約内容と認識のズレ」が原因です。

特に、訪問介護やグループホームなどでは、利用者本人よりもご家族とのやり取りが中心になる場面も多く、事前説明や契約書の整備が不十分だと、トラブルに発展するリスクが高まります。


【介護現場で実際に起きている家族トラブル事例】

  • 利用者の家族から「虐待では?」と疑われてしまった

  • サービス内容を一方的に勘違いされ、SNSに書かれた

  • ケアマネを通じて文句が来たが、話が食い違っている

  • 契約書はあるが、現場の運用がそれに即していない

  • クレーム対応で現場が疲弊してしまっている


【トラブルが生まれやすい3つの場面】

  1. 契約時の説明が形式的だった
     → 実態とかけ離れたパンフレットやテンプレ契約書だけでは、後々「聞いていない」と言われがちです。

  2. 現場の職員が契約内容を把握していない
     → 書面通りのサービス提供ができていないと、信頼の低下に。

  3. 記録や報告が曖昧で、説明責任が果たせない
     → 苦情が来たとき、「証拠がないので謝るしかない」状態に。


【弁護士がサポートできること】

  • 利用契約書・重要事項説明書の見直し(実態に合ったものに)

  • 職員向けの“説明対応”マニュアルの作成

  • クレーム対応時の文書サポートや家族対応の助言

  • 損害賠償請求への備え(ヒアリング・事実整理・対応文案作成)

  • SNS・ネット投稿への対応(削除依頼・法的対応含む)


【まとめ:トラブルを未然に防ぐには“説明”と“記録”が鍵】

介護サービスは、人と人との関わりのうえに成り立っています。
だからこそ、契約書や説明責任が不十分なまま現場任せにしていると、思わぬ火種になります。

トラブルが起きてから整えるのでは遅いのです。

「現場が悪い」のではなく、「制度や体制の整備」が必要なのです。

クレームやトラブルが発生したとき、
それを「改善のチャンス」として前向きにとらえる体制づくりが、
結果的にご家族や職員からの信頼を得ることにもつながります。

家族対応に限らず、請求・労務・指導リスクまで見据えた体制整備をお考えの方へ

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© 弁護士 下田和宏