破産向け

2025/05/21 破産向け

任意整理したらクレジットカードは使える?

──よくある誤解と、そこから破産に至る落とし穴

※この記事では、任意整理後のクレジットカード利用や借入の可否、信用情報への影響について解説するとともに、「任意整理で解決できると思っていたのに、結局うまくいかなかった」という相談例や、士業トラブルについても取り上げています。


任意整理後でも、他社でクレジットカードは作れる?

「整理したのはA社だけだから、B社ならカードが作れるのでは?」
これはよくある誤解ですが、実際には難しいのが現実です。

任意整理をすると、その事実が信用情報機関(CICやJICCなど)に「債務整理」として登録されます。これにより、整理していない他社であっても、審査の際に事故情報が確認されるため、カードやローンの審査には通りづらくなるのです。

また、金融機関によってはグループ企業間で情報共有されている場合もあり、「整理していない会社」のつもりが実質的に同じグループだった、ということもあり得ます。


任意整理後の借入・ローンはいつから可能?

一般的に、任意整理の情報は信用情報に約5年間登録されます。この期間中は、新規のクレジットカード、ローン、住宅ローンの審査は非常に厳しいと考えるべきです。

ただし、完済から一定期間が経ち、安定した収入や家計管理の実績ができていれば、信用情報の回復によって再びカードを作れるようになるケースもあります。


任意整理のつもりが破産に…よくある失敗例

任意整理は利息カットや分割返済によって債務負担を軽くする制度です。しかし、もともとの収入や生活状況によっては、返済の継続が難しくなり、途中で破産に切り替えざるを得ないケースもあります。

たとえば、

  • 借入件数が多く、毎月の返済額が高額になる

  • 安定した収入がなく、返済原資が見込めない

  • 滞納が長期化しており、交渉が成立しない

こうした状況では、任意整理では解決できず、最初から自己破産を選ぶべきだったという事例も多く見られます。


高額な費用だけとって音信不通…悪質な士業にも注意

「自己破産せずに解決できます」「任意整理で大丈夫です」と言われて契約したものの、
実際には返済が続かず、途中で連絡が取れなくなるようなトラブルも起きています。

中には、

  • 相談時に高額な着手金や報酬だけ請求する

  • 任意整理に不向きなケースでも無理に進める

  • 途中で放置し、結局破産に切り替える場合に再度費用請求する

といった、モラルに欠ける対応をする事務所も存在します。


借金問題に必要なのは、「合った制度」と「信頼できる専門家」

任意整理と自己破産。
どちらが「良い」「悪い」ではなく、あなたの生活や家計の状況に合っているかが何より重要です。

制度の都合の良い部分だけを強調する事務所ではなく、
「収入・支出・家族状況・今後のリスク」まで含めて丁寧に聞いてくれる専門家に相談することで、無理のない再出発が可能になります。


🔹「任意整理をしたけれど支払いが続けられない」「破産した方がいいのか判断できない」といったご相談もお受けしています。
🔹誰にも知られずご相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。


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© 弁護士 下田和宏