顧問・企業法務

2025/06/18 顧問・企業法務

「加算指導で不正請求扱いに…?」――介護事業所がとるべき“守りの一手”とは

介護事業所の運営において、「加算」は重要な収益源です。

しかし、その加算に対して突然の“指導”が入り、「返還を求められた」「報酬がカットされた」といったトラブルが起きることがあります。

加算要件は年々複雑化しており、現場の誤解や認識不足によって不利益を被ってしまうケースも少なくありません。

本コラムでは、「加算指導」への対応に悩む事業者様向けに、弁護士の視点から法的な整理と実務上の対処法をご紹介します。

よくあるご相談:「うちは悪質ではないのに、なぜ…?」

介護施設から寄せられるご相談で多いのが、次のようなものです。

  • 「○○加算の取得が不適切と判断され、返還を求められた」

  • 「運営指導で“改善命令”のようなことを言われたが、具体的な根拠があいまいだった」

  • 「記録の不備を理由に一部減算となったが、現場では実施していた」

いずれも「実態はあるのに書類が不十分」「意図的ではなく運用上のズレ」といったグレーなケースが多く、不正受給と一括りにされるのは不本意だという声が多く聞かれます。

指導の現場では、厚労省や自治体の担当者の裁量や解釈によって判断が左右される場面もあり、“納得のいかない指摘”として残るケースも少なくありません。

【ポイントまとめ】

  • グレーなケースでも「返還」や「減算」の指導がある

  • 書類不備=不正扱いされることも

  • 担当者の裁量や対応で結果が変わるケースもある

法的に「納得できない指導」は争えるのか?

加算指導において「不服だがどう対応していいか分からない」というご相談を多く受けます。

実は、法的には以下のような主張・対応が可能な場合があります。

まず、事実誤認があった場合は「反論書面」を作成し、行政に対して正式に説明・再考を促すことができます。自治体によっては、不服申し立てや再調査の機会を設けている場合もあります。

また、返還請求についても、明確な根拠が示されていない場合は支払いを拒否し、弁護士を通じて交渉することが可能です。

行政指導といえども、「形式に従っていればすべて従うべき」というわけではありません。事実と法令の整合性をしっかり確認し、反論の余地があるかを検討すべきです。

【ポイントまとめ】

  • 誤認・不当指摘に対しては反論書面の提出が有効

  • 返還請求に根拠がなければ、交渉や拒否の余地も

  • 指導内容の法的適否を見極める視点が必要

トラブル対応の具体的ステップと弁護士の関与

加算指導に直面したとき、事業者側でとるべき対応のステップは以下のとおりです。

  1. 指摘内容を正確に記録する(指導内容・担当者名・発言など)

  2. 当該加算の取得経緯や記録内容を整理し、誤解や不備の有無を精査する

  3. 必要に応じて弁護士に相談し、反論書面の作成や対応方針を検討する

とくに、加算に関する文言や要件は専門性が高く、行政の言うがままに受け入れてしまうと、今後の経営にも大きな影響を及ぼすことがあります。

弁護士が関与することで、「何が問題視されているか」「どう反論できるか」を法的に整理でき、過度な返還請求や一方的な指導に対してブレーキをかけることが可能です。

【対応ステップまとめ】

  • 指導内容を記録し、事実関係を正確に把握

  • 実施状況・記録内容とのズレを整理

  • 弁護士による文書作成・行政対応が有効

当事務所の支援内容:仮顧問契約で柔軟に対応可能

当事務所では、介護事業所向けに以下のようなサポートを行っています。

  • 加算要件の解釈や運用に関する法的助言

  • 指導後の対応方針の検討・文書作成(反論・説明・経緯報告書など)

  • 行政との交渉支援

  • 必要に応じて顧問契約または仮顧問契約のご提案

仮顧問契約(3ヶ月・55,000円/税込)により、初期費用を抑えながら継続的なアドバイスを受けられます。

「今回は対応できたが、次も不安だ」「書類の整備にも自信がない」という事業者様にとって、リスク予防の一手にもなります。

【支援内容まとめ】

  • 加算要件のチェックと助言

  • 行政対応文書の作成支援

  • 仮顧問契約により継続的にフォロー可能

指導対応で疲弊する前に、まずはご相談を

加算指導は、形式的なミスであっても厳しい対応を求められることがあります。

しかし、事業所側にも言い分や実情があり、それを適切に伝えることで指導結果が変わることもあります。

「このまま言われるままに返還するしかないのか」「次の指導が怖い」と感じたら、まずは一度ご相談ください。

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© 弁護士 下田和宏