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2025/05/20 TOPICS

ちいかわ転売騒動から見る“浪費と破産”──「好き」の暴走はなぜ止まらないのか?

※この記事では、マクドナルドの「ちいかわハッピーセット」売り切れ騒動をきっかけに、「転売問題」「推し活による浪費と家計破綻」「企業キャンペーン設計のリスク」について、弁護士の視点から考察します。感情的な非難に流されず、“背景にある構造”を冷静に見直すきっかけになればと思います。


ちいかわハッピーセットが買えない?——「転売ヤー=悪」という単純な話ではない

ある日、マクドナルドの店舗に行って驚きました。

「ハッピーセットのちいかわ、終了しました」の貼り紙。

SNSを覗けば、「また転売ヤーか」「子どもが可哀想」と怒りの声があふれていました。

でも、ちょっと待ってください。

実は私にも娘がいます

我が家にも小学生の娘がいます。 ちいかわにはそこまで関心がないようで、今回も特に欲しがることはありませんでした。

でも、ニュースやSNSで「子どもが買えなくて可哀想」といった声を見ると、 親として、たしかに気持ちは分かる部分もあります。

ただ、そういった感情の声ばかりが大きく取り上げられて、 「転売ヤー=悪」と一方的に断じられる空気には、違和感もあります。

転売価格を見てみると……?

メルカリなどでの転売価格を見てみると、ちいかわ4種コンプリートセットが2,200〜2,500円程度。

一方、ハッピーセットは1セット500円台。4つで約2,000円です。

さらに、フリマアプリの販売手数料や送料を考慮すると、利益は数百円か下手すると赤字。儲け目的にしては薄すぎます。

つまり、「転売ヤーが買い占めている」というより、「推し活の一環で複数買って余った分を売っている」ケースも相当あるのではないでしょうか。

好きが高じて家計を圧迫することも

「推し活」自体は悪いことではありません。

ですが、度を超えると家計に影響します。

私のもとにも「キャラグッズやガチャ、ライブ遠征にお金をかけすぎて借金がかさんだ」と相談に来る方がいます。

特に多いのは、収入がしっかりある高年収層。「ちょっとしたご褒美」や「少しだけのつもり」が重なり、気づけば家計が回らなくなっているパターンです。 → 実際の相談事例を紹介したコラムはこちら:[高収入でも自己破産できる?]

人気キャンペーンが企業リスクになる時代

また、企業側にとっても無視できない問題があります。

人気キャラとのコラボは集客効果が大きい反面、品切れや買い占めによってSNSで炎上するリスクがあります。

「転売対策をどうするか」「購入制限をどう設けるか」といったルール設計は、企業法務的にも重要なポイントです。

私の事務所では、こうした炎上リスクや表現チェック、キャンペーン設計に関する企業法務の相談も受けています。 → 顧問契約や法務サポートの詳細はこちら:[中小企業向け法務サポート]

感情論より、構造を読み解く視点を

「誰かが悪い」と断じるのは簡単です。

でも、その背後には「浪費の構造」「転売と推し活の境界」「企業の設計不足」など、さまざまな要因が絡んでいます。

感情的な批判よりも、一歩引いて構造を読み解く視点が、次の行動や判断につながるはずです。


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© 弁護士 下田和宏