2025/05/08 TOPICS
神奈川・横浜の中小企業経営者へ|突然「解雇は無効だ」と主張されたときの正しい対応とは?
はじめに
「辞めてもらう」と伝えただけのつもりが、後日突然「解雇は無効です」と書かれた内容証明が届いた──。
神奈川県・横浜市内で事業をされている中小企業の経営者から、こうしたご相談が増えています。
感情的な衝突や勤務態度の悪化など、様々な事情で従業員との関係がこじれた結果、退職を促したところ「不当解雇だ」と主張されるケースは少なくありません。
本コラムでは、元従業員から「解雇は無効だ」と主張されたとき、会社としてどのように対応すべきか、また、未然に防ぐためにできる対策について、弁護士の視点から詳しく解説します。
具体的なご相談事例
ご相談に来られたのは、横浜市内で飲食店を複数店舗展開されている50代の経営者様。
対象となったのは、長期間にわたって遅刻・欠勤・勤務態度の不良が続いていたアルバイト従業員でした。社長様は本人と何度も面談を行い、「このままの勤務状況では続けるのは難しい」と何度か伝えていました。
ある日、無断欠勤が続いたことをきっかけに「出勤しなくていい」と言ったところ、後日、本人の代理人弁護士から「不当解雇につき、復職および賃金の支払いを求める」との内容証明郵便が届きました。
解雇無効を主張されたときに会社がとるべき初動対応
元従業員から「解雇は無効だ」と主張されたとき、会社として重要なのは、感情的に反応せず、冷静に「証拠」と「経緯」を整理することです。
✅ 初期対応として確認すべきポイント:
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口頭・書面で「解雇」に該当する発言・通知をしていないか
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就業規則や雇用契約書に、解雇に関する規定があるか
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注意・指導・警告の履歴(文書・メール・LINEなど)は残っているか
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勤怠データや業務態度を示す客観的な記録(出勤簿・報告書など)があるか
もし労働組合や代理人から団体交渉を申し入れられた場合は、弁護士の同席のもとで対応することが望ましいです。
解雇が有効とされるために必要な3つの要件
労働契約法第16条により、解雇が有効と認められるには、以下の3つの要件が必要です。
1. 客観的に合理的な理由があること
例えば、勤務態度の著しい不良、就業規則違反、重大な業務ミスなどが継続していた場合などですが、客観的な証拠が必要です。
2. 社会通念上相当であること
解雇というのは労働者にとって重大な処分です。いきなりの通告ではなく、事前の注意喚起や改善のチャンスが与えられていたかが重要になります。
3. 手続きに問題がないこと
就業規則に基づく手続き(例えば、予告通知や弁明の機会など)が適切に行われていたかどうかも審査の対象になります。
弁護士が対応した結果とアドバイス
当事務所が介入した事例では、社内に残されていた面談記録やLINEでの注意メッセージ、無断欠勤の勤怠データなどをもとに、解雇ではなく「自然退職」に近い形であることを主張。
結果として、代理人との話し合いの末、金銭解決により円満退職という形で合意が成立しました。
このように、記録や対応の積み重ねが会社を守る武器になります。
まとめ|「辞めてもらう」は危険信号。書面と記録で備える。
「もう来なくていい」と口頭で伝えるだけでも、相手からすれば「解雇された」と感じる可能性があります。
中小企業にとって人事トラブルは経営に直結します。だからこそ、日頃からの就業規則の整備、指導記録の保存、そしてトラブルが起きた際の専門家への相談が大切です。
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