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2025/08/06 特集ページ

【人材紹介トラブル】試用期間中退職で返金請求されたらどうする? 支払い義務と対応策

「入社してまだ1ヶ月、しかも試用期間中なのに紹介料を全額請求された」
そんな理不尽さを感じたことはありませんか。

人材紹介会社を利用してやっと採用できた人材が、試用期間中に辞めてしまう——。
中小企業の経営者にとって、人材育成コストも戻らない中での高額請求は大きな痛手です。

しかし、ここには見落とされがちな落とし穴があります。
「試用期間」と「返金保証期間」は別物なのです。

試用期間中退職で紹介料請求…本当に払う必要はある?

多くの経営者が「試用期間中なら返金してもらえるはず」と考えます。
しかし、返金の有無は労働契約の試用期間ではなく、人材紹介会社との契約書の内容で決まります。

契約書に返金条件が明記されていない場合、試用期間中でも全額請求されることは珍しくありません。

試用期間と返金保証期間は別物

労働契約の試用期間とは

  • 従業員の勤務態度や能力を見極めるための期間

  • 法律上は正社員とほぼ同じ権利義務があり、給与も支払われる

  • 途中解雇も可能だが、客観的合理性と社会的相当性が必要

人材紹介契約の返金保証とは

  • 紹介会社と企業間の契約で定める短期離職時の返金や再紹介条件

  • 保証期間は30日、60日、90日など契約ごとに異なる

  • 起算日や対象退職理由も契約によってまちまち

ポイント
試用期間が3ヶ月でも、返金保証期間が1ヶ月なら、1ヶ月を過ぎた退職は返金対象外です。

契約書でよくある不利な条件と注意点

条項例 企業に不利な理由
保証期間30日 試用期間が3ヶ月でも、1ヶ月過ぎれば返金なし
自己都合退職は返金対象外 短期離職の多くが自己都合
保証なし 退職時期に関係なく全額請求

営業時に「柔軟に対応します」と言われても、契約書に反映されていなければ意味がありません。

試用期間特有の交渉切り口

試用期間中の退職には、以下のような交渉材料があります。

  • 離職リスク情報の未開示
     過去に短期離職を繰り返していた事実を隠していた場合、説明義務違反の主張が可能。

  • 職歴や経歴の隠匿
     重要な経歴を伏せて紹介した場合、信義則違反となる余地あり。

  • 採用見込みの低い人材の紹介
     適性や希望条件が著しく不一致な人材をあえて紹介していた場合。

契約段階での防止策と改善例

契約書に以下のような条件を盛り込むことで、トラブル防止につながります。

  • 入社日から60日以内の自己都合退職は全額返金

  • 入社日から90日以内は返金率50%

  • 保証期間の起算日は実際の入社日とする

さらに、契約交渉前には次の5点を必ず確認しましょう。

  1. 保証期間の長さ

  2. 対象となる退職理由

  3. 返金率と計算方法

  4. 保証期間の起算日

  5. 返金手続きの条件

請求を受けたときの実務対応フロー

  1. 請求書と契約書の条項を照合

  2. 営業時の説明内容を証拠化(メール・録音・メモ)

  3. 保証条件と退職理由を整理

  4. 弁護士名で通知書を送付し、交渉の主導権を握る

「試用期間中だから返金してもらえると思っていたのに全額請求された」
こうしたケースでも、契約の読み方と交渉次第で結果は変わります。
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まとめ

  • 試用期間と返金保証は別契約で、条件は契約書次第

  • 条項が不明確・不合理なら交渉や減額の余地あり

  • 契約段階で条件を明確にし、証拠を確保することで再発防止が可能

© 弁護士 下田和宏