1. 相談内容(状況・経緯)
ご相談者は、製紙関連会社で長年勤務していた事務職の女性。
一度定年退職された後、再雇用という形で勤務を継続されていましたが、再雇用後の給与は定年前から約3割カットされ、最低賃金すら下回る水準であったにもかかわらず、会社からの説明や補填は一切ないまま放置されていました。
さらに、朝8時からの出勤が常態化し、昼休みも来客・電話応対に追われ、十分な休憩が取れない状態が継続。
「定額残業代が含まれている」との名目で残業代は支給されておらず、賃金の透明性も著しく欠けていました。
また、数年前から通勤片道1時間50分を要する遠隔地への配転が続き、長距離通勤による体力的・精神的な負担も大きな問題となっていました。
2. 当事務所の対応(法的視点・通知書送付など)
まずは賃金明細やタイムカードの記録から、最低賃金違反および残業代未払いの根拠を明確化。
「定額残業代」とされていた部分についても、労基法上の固定残業代としての有効性を否定できる構造(時間数不明・上限なし・明細上曖昧)であることを主張し、あらためて基礎賃金と時間外労働を分離したうえで、未払い残業代を算定しました。
また、片道1時間50分に及ぶ配転の合理性を否定し、本人の年齢・家庭状況・健康上の配慮がなされていなかった点を踏まえ、慰謝料請求も行いました。
会社側は最初、誠実な協議対応すらせず、代理人弁護士の介入後も期日までに正確なタイムカードや給与の再計算を提示しないなどの対応が続いたため、労働審判の申立てに踏み切りました。
3. 結果(実質的な成果)
労働審判においては、以下の点が明確に認定され、和解による解決となりました:
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最低賃金割れと残業代未払い:合計350万円以上が請求通り認定
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「定額残業代」は固定残業代としては否定され、基礎賃金に算入する形で再評価
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慰謝料については当初100万円請求 → 裁判所の心証を踏まえて50万円で和解成立
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配転による負担や有給未取得なども総合的に考慮され、全体として“実質勝訴”に近い内容で解決
和解金は遅延損害金を放棄する代わりに、慰謝料を50万円とする構成で調整されました。
4. 解決のポイント(実務面・戦略面)
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「定額残業代」名目の支給が、固定残業代としての明確性・合意性に欠ける点を的確に突いた
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最低賃金との比較を“形式ではなく実態”に即して再構成
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配転命令の合理性を問う場面で、通勤距離だけでなく年齢・健康・家庭事情などを主張に織り込み、説得力を強化
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慰謝料については「金額」ではなく「心情面での納得感」を軸に、遅延損害金とのバランスで調整
5. 感謝の声(ご本人より)
会社を訴える…つい最近までは考えもせずに働いていました。
でも、新人のほうが待遇が良く、長年働いてきた私たちが3割カット――そんな現実に心が折れました。
下田先生にご相談してからは、すべてがスムーズで、本当に安心して進められました。
労働審判も初めてで緊張しましたが、結果としてきちんとけじめがつき、前に進めそうです。
これからは会社のことを忘れて、前向きに生活していきたいと思います。
本当に、本当にありがとうございました。
(神奈川県・事務職・女性)
6. 同様のお悩みをお持ちの方へ
最低賃金の割れや残業代の未払い、固定残業代の不透明な運用は、見過ごされがちですが違法です。
「うちの会社もそうかも…」と感じたら、一度ご相談ください。
証拠が揃っていなくても、事実確認と整理から一緒に進めていきます。
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