解決事例

2026/02/18 解決事例

「会社に金がない」と言われた有期契約途中解雇。代表連帯保証付きで解決

1 相談内容

依頼者は1年契約の有期雇用契約で勤務していました。
ところが、契約期間の途中で突然「鍵を返して出て行ってほしい」と告げられ、退職合意書を提示されました。

背景には、社内のパワーハラスメントを会社に申告した直後という事情がありました。
事前の注意や指導はなく、突然の事実上の解雇です。

会社側は、解雇の有効性を争いつつも
「経営が厳しい」
「借入が多い」
「休業届も出している」
などと説明し、支払能力がないことを強調していました。

2 法的整理

本件は有期労働契約です。

有期契約の途中解雇は、労働契約法17条により「やむを得ない事由」がない限り無効とされています。
通常の解雇よりも、会社側に求められるハードルは高いのが原則です。

会社の主張する「経営困難」や「勤務態度不良」は抽象的で、具体的な指導経過や客観資料は示されていませんでした。
法的には、解雇の有効性には大きな疑問がある事案でした。

3 実務上の争点

しかし、本件の難しさはそこではありません。

会社は「金がない」と繰り返し主張していました。
仮に解雇無効であっても、実際に回収できなければ意味がありません。

そこで、
・決算書の精査
・負債と資産の実態
・代表者報酬の水準
・関連法人との資金関係

を具体的に検討しました。

表面的には赤字に見える決算書でしたが、内容を丁寧に読み込むと、「直ちに支払不能」とまではいえない状況が見えてきました。

4 解決戦略

労働審判の場では、会社は解決金一定額を提示しました。
当初の請求額からすれば十分とはいえません。

しかし、

・代表者個人の連帯保証を付ける
・退職理由を「会社都合」と明記する
・管理敷地内への出入禁止措置を解除する

という条件を加えることで、単なる金額交渉にとどまらない形で和解を設計しました。

代表者保証を入れることで回収可能性を高め、
会社都合退職を明記することで依頼者の今後の就職活動への不利益を防ぐ。

依頼者にとって何が一番重要かを軸に条件を組み立てました。

5 結果

解決金数50万円
代表者連帯保証付き
会社都合退職を明記
出入禁止措置の解除

で和解成立となりました。

依頼者は金額には完全には納得していませんでしたが、
「会社都合になったことが何より安心できた」と話してくれました。

6 本件の意味

労働事件は、勝ち負けだけではありません。

・相手に資力があるのか
・回収可能性はどうか
・依頼者の将来に何を残すのか

を総合的に考える必要があります。

法律論だけで押し切るのではなく、
資力分析と和解設計まで見据えた交渉が重要になります。

同様のお悩みをお持ちの方は、早めにご相談ください。

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© 弁護士 下田和宏(横浜パートナー法律事務所所属)