2026/01/22 顧問・企業法務
内向型・外向型で、仕事の評価がズレる理由
内向型・外向型と、職場で起きがちなズレの話
最近、「内向型」「外向型」という言葉を耳にする機会が増えました。
心理学的にはさまざまな定義があるようですが、ここではあまり厳密な話はしません。
私自身が一番しっくり来ている整理は、
内向型はエネルギーが「内側」に向かう人、
外向型はエネルギーが「外側」に向かう人、
という考え方です。
人とのコミュニケーションなど、外からの刺激を好むかどうか、
その違いとして捉えると分かりやすいように思います。
内向型の人は、自分の中で考えを巡らせ、整理し、ある程度形が見えてから動く。
外向型の人は、人とのやり取りや発話を通じて考えを整理しながら前に進む。
どちらが優れている、という話ではありません。
単に、エネルギーの使い方が違うだけです。
企業のご相談を受けていて、この違いを強く感じる場面があります。
それが、職場での評価や「仕事ができる人」というイメージです。
たとえば、会議。
よく発言する人、場を回す人、話題を切らさない人がいると、
「この人、仕事ができそうだな」という空気が自然と生まれます。
一方で、あまり発言しない人もいます。
メモはしっかり取っているけれど、会議中は静か。
会議が終わってから、要点だけを短く共有してくるタイプです。
評価されやすいのは、どうしても前者です。
発言が多い人は、「考えている過程」が外に見える。
上司や周囲としては、安心しやすいのだと思います。
一方、内向型的な人は、
エネルギーを内側で使って処理している分、途中経過が見えにくい。
その結果、「反応が薄い」「何を考えているかわからない」と誤解されることもあります。
ただ、ここで一つ立ち止まって考えてみる必要があります。
職場の仕事の多くは、
実は「喋ること」よりも「黙々と処理すること」「積み上げること」で成り立っています。
契約書のチェック、数値の確認、リスクの洗い出し、手続の整理。
派手ではないけれど、どれか一つ欠けても業務は回りません。
内向型の人は、こうした作業を比較的安定してこなします。
静かな環境で集中しているとき、処理速度と精度が上がる。
無駄な動きをせず、結果として作業効率が良くなることも多い。
外向型の人が組織を前に動かすとすれば、内向型の人は、組織の足元を支えている。
役割が違うだけです。
法務の現場でも、同じことを感じます。
前例がはっきりしない。
裁判例も割れている。
学説もきれいに整理されていない。
こうした場面では、議論を広げる力も重要ですが、同時に、静かに資料を読み込み、論点を整理し、
淡々と実務を積み上げる力が不可欠です。
トラブルが起きなかったとき、その仕事は評価されにくい。
「何も起きていない」からです。
でも実際には、
その「何も起きない状態」を作るために、
誰かが地味な作業を積み重ねています。
企業でも、よく話す人が必ずしも実務を一番回しているとは限りません。
むしろ、目立たない人の仕事によって、全体が安定していることも少なくありません。
外向型が悪いわけではありません。
内向型が優れている、という話でもありません。
ただ、評価が「外に出た行動」だけに偏ると、
組織にとって重要な役割が見えなくなる。
それは企業にとって、決して健全な状態ではありません。
経営でも、法務でも、
必要なのは一つのタイプの人材ではなく、
役割の違いを前提にしたバランスです。
静かに黙々と仕事を進める人がいて、
それを外に広げ、動かす人がいる。
どちらか一方だけでは、組織はうまく回りません。
組織のトラブル対応や法務も、
このバランスが崩れたときに問題が表に出やすい分野です。
最近、そんなことを考える機会が増えました。