2025/06/25 顧問・企業法務
外国人スタッフが“当たり前”になった職場で、企業が見落としがちな法的リスクとは? ― 横浜の現場から見える実態
最近、コンビニや飲食店に入ると、外国人スタッフの姿を目にすることが多くなったと感じていませんか?
実際、私自身が関わっている顧問先企業でも、中国をはじめとする外国人の方々が日常的に現場を支えていますし、個人の相談者としても、中国人の留学生や技能実習生から労働トラブルの相談を受けるケースが少なくありません。
横浜という地域は、全国的に見ても中国系住民が多く、中華街や中華学校といったコミュニティも根付いています。
つまり、「外国人スタッフがいる職場」は、今や特殊な事例ではなく、“むしろ自然なこと”として日常に浸透しているのです。
しかしその一方で、こうした外国人スタッフの受け入れには、企業として注意しなければならない法的リスクも少なくありません。
■ なぜ今、日本人アルバイトではなく外国人が現場を支えているのか?
まず、日本人の若年層アルバイト自体が激減しています。
背景には、少子化による絶対数の減少に加え、以下のような傾向があります:
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「接客業はきつい・時給が安い」と敬遠されがち
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SNS運用や動画編集など、スキル系バイト志向の高まり
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家庭の経済状況により、「無理してバイトしなくてもいい」層も増加
その結果、現場の人手不足を補っているのが、留学生・技能実習生・特定技能外国人労働者たちです。
特に中国系の方々は、日本語能力の高さや紹介ネットワークの強さから、接客業や飲食業の現場でも“即戦力”になりやすいという特徴があります。
横浜ではこれが顕著で、実際、企業側も「外国人の方がシフトに入ってくれるし、真面目に働いてくれる」と感じているケースが多いのが実情です。
■ 雇う側に突きつけられる「法的責任と見落とし」
ただし、外国人スタッフの受け入れには、いくつかの重要な法的留意点があります。
✅ 在留資格と業務内容の整合性
たとえば、留学生は「資格外活動許可」を得た上で、週28時間以内という制限のもと就労が認められています。
このルールを超えて働かせると、「不法就労助長罪」として雇用主が罰せられる可能性があります。
✅ 契約内容の理解・同意
言語の壁により、雇用契約の内容を十分に理解せずに働いているケースもあります。
誤解が後々の労働トラブル(残業代未払い、急な解雇など)につながるリスクがあるため、可能であれば母国語の併記や、内容確認のサポートを行う体制が望まれます。
✅ 労務管理の不備は全社員共通のリスク
外国人であっても、日本人と同様に労基法は適用されます。
「言わなければバレない」「本人が嫌がっていないから大丈夫」といった対応は、労働基準監督署の調査で一発アウトになることも。
■ 外国人スタッフとどう向き合うか ― 経営側の備え
もはや外国人スタッフは、「臨時の人手」ではなく、組織の一部として機能する時代です。
現場に任せきりではなく、経営者・管理者側が以下の視点を持つことが重要です。
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在留資格と労働条件の確認をルーティン化する
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契約書・就業規則の内容を外国人にもわかる形で共有する
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労務トラブルの相談ルート(外部専門家含む)を明確にしておく
【まとめ】
「外国人スタッフが増えている」のではなく、「日本人スタッフが減っている」現場構造の変化。
それを補ってくれている外国人労働者は、いまや地域経済・企業経営に欠かせない存在です。
しかし、制度を知らずに雇用してしまったり、確認を怠ったまま放置していた結果、企業側が法的責任を問われるケースも珍しくありません。
現場に寄り添いつつ、制度面のリスクにも備える――そのバランスが、今後ますます求められていくでしょう。
【(顧問契約案内)】
外国人スタッフを雇用している企業様へ
当事務所では、在留資格の確認や雇用契約の整備、労務トラブルへの事前対応を含めた、外国人雇用に関する法的助言も行っております。
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